家族と思春期

子どもの生育環境は、その子どもが発達障害に苦しむかどうかに大きく関わります。通常、子どもは勉強を通して、或いは種々の生活で経験することを通して、いわゆる有能感を内部に育みます。このプロセスがなぜ重要かと言えば、この有能感が社会に参加するための基盤になり得るからです。言い換えれば、協調性がこの時期に形成されるのです。裏を返せば、子どもの頃に有能感を生み出すことに失敗すれば、自分には何かが欠けているという劣等意識を常に持ち続ける羽目になり、社会生活に不適応な性格が形成されてしまうのです。

もう少し細かく時期を分けてみることにしましょう。学童期から思春期の時期は、特にその子どもにとって大切な期間です。子どもは家族との関係性を変化させるのですが、思春期は特にそれが顕著になります。それまでは母親や父親が、自分の世話を何でもしてくれますが、思春期を迎えると子どもの主体性が尊重されるようになり、子どもは徐々に親から自立するようになります。もちろん親は何もしないわけではなく、子どもの良いところ、得意なところを伸ばすことができるように、経済的、精神的サポートをする点は変わりません。

ただ子どもへの関わり方は、明らかに変化するのです。思春期は自分で処理しなければならなくなると同時に、大人とはどのような存在であるのかを思考し、悩み始める時期でもあります。その過程で、親に八つ当たりしたり、反抗したりするのは珍しくありません。子ども本人だけでなく、保護者も悩むことになります。自分の子どもの急激な変化に戸惑いを覚えない親はいないでしょう。しかし何とか苦労しながら寄り添い、支え合うしかありません。