時は高齢化社会。これに対応するべく医師らは老年医学を発達させていきました。しかし、老年歯科に対する学びの場がこれまでありませんでした。小児歯科があるように、高齢者にもまた、成人とは異質の生理現象がとても多いのです。つまり、高齢者の歯科治療法の確立をしていく為に、高齢者歯科の専門の研究機関が必要になってくると言えるでしょう。今や総入歯で30~40年もお元気な人というのは沢山います。歯茎(土手)の減り方も従来と比べられないほど激しい例も増加しています。研究の有無にかかわらず、高齢化の波は歯科に押し寄せています。しかし、情勢とは裏腹に水先案内がなくそれぞれの歯科医が手探りで治療するような状態であってはならないでしょう。かくして、老年歯科の確立が求められてきたのです。しかし、徐々に老年歯科に対する環境も変わりつつあります。老年歯科を持つ医療機関が全国各地に設立され、中には咬合咀嚼障害系の外来を設けている所も存在します。老年歯科補綴学講座を設けている歯科大学も増えてきています。入歯を専門とする歯科院もある等、変化を見せつつあります。今後ますます高齢化は進行していきます。歯科医たちの知識・技術向上だけでなく、患者やその家族も正しい知識を得られるような環境も整えていく必要があると思います。